日本語を教える現場から
日本東京国際学院(日本語学校)には、現在20か国、600名の留学生がいます。
言葉(母国語)も文化も習慣も、何もかも異なる国の学生ですから、違うことがあって当たり前なのですが。
例えば、時間やルールについては、日本は本当にきっちりしているので、留学生に「日本は厳しいです」と言われることが多いですが、逆に叱られることもあります(笑)
先日は、家族について話しているときに叱られました。私は就職を機に実家を出て、結婚をした後も親と同居していません。日本では、割とオーソドックスな形だと思いますが、留学生たちから一斉に攻撃されました。「どうして一緒に住まないのですか」「先生は親が大切ではないですか」「先生を育ててくれたのは誰ですか」などなど…。
この場合、「日本人はみんなそうです」と言っても通用しません。私の場合は、兄が同居しているので、だから安心していると伝え、みな納得。それでも、家族みんなで住んだほうがいいという意見が多かったです。
東京一極集中、核家族、少子化…日本の問題は留学生には、到底理解できないもののようです。私たち自身、これが普通だと思ってはいけないですね。
また、留学生と話していると、たびたび結婚、国際結婚についての話題になります。
これについても、それぞれの国で、人で考え方もさまざま。賛成・反対、したい・したくないも、もちろんですが、その理由もさまざまです。人数を比べてみると「国際結婚したくない派」のほうが「国際結婚したい派」よりも多かったですね。ちょっとびっくりです。留学に来る人たちですから、「したい」と答える学生が多いかと思いきや…やはり、文化、習慣、言葉の一致というのは安心できるようです。
日本語教師は単に言語としての「日本語」、文法や発音だけを教えればいいというわけではありません。「日本語」を通して、「日本文化」や「日本の習慣・ルール」、「日本で生活していくこと」を教える役割があります。そして、私たち自身も留学生それぞれの国の文化や習慣を理解していくことがとても大切になってきます。留学生たちとのかかわりは、上に書いた「親や家族への気持ち」、「先生や目上の方に対する尊敬の念」等々、私たちも当然持っているはず(でも、若干薄れてしまっているような気がします)の気持ちを思い出させてくれます。やはり、教育は一方通行ではいけない、『共育』であるべきだと再認識させられます。教えるだけではなく、教わることも多い。人はいくつになっても成長できると実感、体現できる仕事が『日本語教師』です。
さあ、「今日はどんな話をしようか」「どんな経験ができるか」…。日々新鮮な気持ちで、留学生の笑顔を思い浮かべて教室へ向かう、本当に楽しい仕事です。もちろん、大変なことも多々あると思いますが、それを補って余りある感動体験をぜひみなさんも感じてください。